2011年12月


  
◆政府・来年度予算で緊急時対応を増強
 (12月26日付)
 
政府が12月24日閣議決定した2012年度予算案のうち、石油製品販売業への支援予算は今年度当初予算比16.6億円増の167億円を計上した。災害など緊急時に石油製品の安定供給を確保するための中核的なSS拠点の整備や、地域における供給不安の解消に向けた実証事業の支援など、SSを中心とした石油サプライチェーンの維持・強化を図っていく。
 大規模災害への対応が喫緊の課題になっていることから、緊急時に備えた石油製品流通網の維持・強化に向けて、今年度の2億円から62.8億円に大幅に拡充する。このうち災害対応型中核給油所等整備事業で56.7億円を措置、被災地周辺や東海地区など地震発生リスクが高い地域などを中心に、地方自治体や元売・地元石油販売業者らの協力体制のもと、地域ごとに中核的な拠点SSを整備する。自家発電設備や通信設備の強化、地下タンクの大型化などを支援し、災害対応能力を強化する。中核SSをバックアップするため、地上タンクの増強やローリーを配備した配送・備蓄補完拠点ほか、自家発電設備、可搬式ポンプなどを配備した災害対応型SS、周辺支援SSの整備などを支援する。
 このほか、災害時における安定供給体制の強化に向けた人材育成支援や供給不安の解消に向けた実証事業の支援などで6.1億円を確保した。
 環境規制対応では総額47.1億円を計上。SS撤退時における地下タンクの放置を防止するためタンク撤去費用の一部を補助するほか、石油製品供給不安地域でのタンク入換支援に前年度と同額の41.6億円を措置する。地下タンク・配管からの油漏れの早期発見に向けて土壌汚染の有無を検査する土壌汚染検知検査補助事業など、環境対応型石油製品販売業支援にも今年度同額の5.5億円を計上した。
 将来に向けたSS経営基盤を強化のため6.3億円を措置。新たなビジネスモデル構築の実証事業の支援や人材育成支援などを行い、SSの次世代化を後押しする。
 公正・透明な競争環境の整備に向けては、今年度同額の2.8億円を措置。石油製品価格の卸・小売価格を全国規模で調査するモニタリング事業を引き続き行うほか、不公正な競争が疑われる地域については詳細な価格実態調査も実施する。
 また、流通コストが割高で販売量も少ないためにガソリン価格が相対的に高い離島対策で、石油販売業者の流通コスト差分を補助し島民向けの小売価格を実質的に引き下げる「流通コスト支援事業」も今年度同額の31億円を措置した。




 

  
◆エネ庁・石油サプライチェーン強化・拡充を提言
 (12月21日付)
 
資源エネルギー庁は12月20日、東日本大震災を踏まえた今後の石油製品の安定供給確保策について、石油業界関係者や防災の専門家・消費者代表などから意見を聴き、取りまとめた「資源・燃料の安定供給確保のための先行実施対策」を発表した。震災後の資源・エネルギー動向の激変に対応し、当面のエネルギー需給安定策の実現に向けて災害時における石油などの安定供給確保や世界的な資源需要の高まりを踏まえた化石燃料・鉱物資源の開発・確保に万全を期すのが狙い。地域における中核SSの整備やオイルターミナルの強化など、災害に備えた石油サプライチェーンの強化・拡充を図る。
 3・11震災で東北・関東地方にある9製油所のうち6製油所が被災、港湾や道路が大きな被害を受けたほか、道路・鉄道などの交通網が各地で分断され、陸上の物流網も甚大な被害を受けるなど、油槽所からSSへの供給も困難な状況に陥った。大規模災害などの発生による国内におけるエネルギーの安定供給体制の脆弱性が浮き彫りになった。
 こうした実態を踏まえ、被災地外からの物流網が途絶し被災地やその周辺地域の製油所の稼働停止によって生産が一定期間停止した場合を想定し、被災地外からの物流網回復までの間、孤立した被災地内の石油の供給要請に対応できる体制整備を課題として挙げた。具体的には、各地のオイルターミナルなどにおいて非常用電源の設置や出荷設備を増強(ドラム缶出荷設備などを含む)して、災害対応能力を強化、在庫(備蓄)を迅速かつ機動的に出荷・供給できる体制を構築する。
 また、自家発電の設置などで災害対応能力を強化した中核的なSSの給油拠点を整備し、被災地における緊急車両、病院などへの供給を円滑に行うための体制を整備する。災害時の供給先の優先度について、平時から自治体などと、SSや元売との間で情報を共有しておくことや、自治体との災害時協定の活用などを明確化しておくことなども掲げた。
 一方、被災地への供給量を確保するため民間在庫を確実に放出する体制を構築するとともに、石油製品での国家備蓄を増強しオイルターミナルへの貯蔵などを行っていく。災害時の被災地のサプライチェーンの被災状況や需給状況を迅速に把握できるよう、政府においてもオイルターミナルやSSなどの情報を収集する複数ルートの確保、消費者に混乱が広がらないよう情報発信のあり方なども検討課題としてあげた。
 今後、エネルギー政策の抜本的な見直しを行う政府のエネルギー・環境会議や、新たなエネルギー基本計画の策定を検討する経産省の総合資源エネルギー調査会などに報告、関係法令の改正や予算措置などを通じ着実に実行していく。


先行実施対策の策定に向け意見を聴いた有識者会議

 

  
◆全石連 タックス・オン・タックス廃止目指し対策本部設置
 (12月21日付)
 
政府・与党内で消費税の増税を含む「社会保障と税の一体改革」に向けた議論が行われる中、全石連は12月20日、関正夫会長を本部長とする「消費税増税問題対策本部」を設置した。消費税率の見直しに際してガソリン税に係る消費税のタックス・オン・タックスの廃止を強く訴えていく方針で、今後、対策本部はその要望実現に向けて適切かつ機動的に対応する。
 与党・民主党では現在、党税制調査会と社会保障と税の一体改革調査会の合同会議において税制の抜本改革に関する議論を進めている。その中で、22日まで民主党議員を対象として自由討議が行われることになっており、最大のテーマである消費税増税が焦点になるとみられる。
 全石連では「タックス・オン・タックスの問題を解決しないまま消費税が増税されればガソリンの需要がますます減少する」として、ただちに廃止にすべきと訴えていく方針。対策本部は20日、全国の石油組合理事長と油政連県連会長に対し、地元選出議員でエネルギーや石油業界の問題に理解のある議員を中心に要望運動を実施するよう要請した。
 対策本部は、副本部長に早山康之、森洋(油政連会長)、根本一彌、土川保夫、西尾恒太、中村彰一郎各副会長と、北海道・伊藤豊、中国・横山洋、四国・山内章正、九州・出光芳秀の各支部長および菅原耕農林漁業部会長が就任。事務局長には河本博隆副会長・専務理事が就く。


 

  
◆全石連・SS淘汰歯止めに抜本策必要
 (12月16日付)
 
全石連は先ごろ開いた三団体正副会長・支部長・部会長会議(写真)で、石油販売業の生き残り策や組織活動のあり方について意見交換した。東日本大震災によって、石油が国民生活・経済活動にとって欠くことのできない貴重なエネルギーであるという認識や、ライフラインとしてのSSの重要性が評価される中で、不当廉売の温床となっている業転格差の問題など、不公正取引の蔓延によってSS淘汰が加速していることに危機感を訴えた。このため、コスト転嫁を適正に行える法的な枠組みなど、SSの減少に歯止めをかける最低限の規制の導入や、不公正取引に対する監視の強化・取り締まりの厳格化といった、抜本的な石油政策の見直しを訴える意見が相次いだ。
 役員からは「元売は大型SSで大都市で安値販売し、我々特約店・販売店を駆逐している。大変な勢いで我々のSSが減っている」、「業転格差があまりにも大き過ぎることがすべての元凶。業転を大手を振って買えるようにする仕組みが必要」、「元売は特約店の選別に入っている。SSを減らすために高く仕切り続けて、生き残るところだけ相手にすればいいと思っている」、「元売社有SSの賃貸料負担が大きいために止めていくところがたくさんある。元売に返還すると、子会社が受け継いで運営している」など、元売の販売政策に強い不信感が示された。  こうした販売業界を取巻く環境の変化に対して、「規制緩和でやり過ぎた部分を戻してもらう。再投資できるような最低限の規制は必要」、「行政や政治に働きかけて、マージンや定価制度を法制化すべき」、「品確法だけでなく、なんらかのセーフティーネットを用意すべきで、仕切価格を法的に適正化することが必要」、「公取委は消費者保護ではなく適正取引保護を徹底すべき」、「元売は価格転嫁のシステムを整えたが、小売は未整備。エネ庁はきちんと元売を指導する責任があるのではないか」と、法的な規制の枠組みや消費者保護に偏らない適正取引確保の必要性など、安定供給体制の確保に向けた国の積極的な関与を求める意見が相次いだ。



 

 
◆首都直下型地震発生時の石油供給への影響試算
 (12月14日付)
 

今後の石油製品の安定供給確保策について有識者から意見を聞く資源エネルギー庁「資源・燃料政策に関する有識者との意見交換会」は、東京湾でM7クラスの首都直下地震が発生した場合の石油製品供給体制への影響についてのシミュレーションを示した。東京湾7製油所(総原油処理量=日量140万バレル)がすべて被災、復旧までに1年を要すると想定(製品の輸出入は除く)。発災前の国内の実生産能力=390万バレル、国内需要=340万バレルから、発災後には生産能力が260万バレルまで低下。被災による需要減を加味しても国内需要310万バレルに対し、約50万バレルの生産能力不足に陥ると試算、7製油所の被災による稼働停止による発災から1年間の供給不足は、国内需要の約53日分の2,800万KLに達するとした。
 東日本大震災では被災地の製油所が地震や津波の被害を受け石油精製能力を失ったために、東北・関東地区など広範囲で油槽所・ローリーの被災・物流網の寸断などが重なり深刻なガソリン不足が発生した。このためシミュレーションでは①石油製品での備蓄の増強と災害時の供給体制の整備②石油製品の輸入増③警察や消防・病院など緊急時対応先や一般消費者などに着実に届けるための物流網の確保―の必要性をあげた。
 具体的には①地域ごとに元売各社間で共同計画を策定しあらかじめ協力体制を構築しておくことや、在庫(備蓄)を災害直後から出荷・供給できるよう出荷設備の強化②海外からの石油製品の調達や近隣諸国との間で官民を通じた災害時の石油製品の相互融通などといった協力関係の構築―をあげた。③最終的な手段として、法律による需給調整も見据え過去2度のオイルショックなどによって我が国への石油の大幅な供給不足が生ずることを想定した「石油需給適正化法」を、地震など大規模災害による国内の供給支障をも想定した法改正も検討課題として掲げた。



 

 
◆12年度政府税制改正大綱・来年10月から温対税導入へ
 (12月14日付)
 
政府は10日未明の臨時閣議で、2012年度税制改正大綱を決定した。11年度からの導入が見送られた地球温暖化対策税(温対税)については、12年度から改めて導入することを決めた。11年度税制改正法案を再提案する形で、原油・石油製品などにかかる石油石炭税の税率を上乗せして課税する。12年10月から足かけ5年かけて、16年4月まで3段階で税率を引き上げていく。現在1KLあたり2,040円の原油・石油製品にかかる石油石炭税は、最終的に760円増の2,800円となる。与野党協議を受けて11年度の実施が見送られたが民主党税制調査会では12年度税制改正の重点要望に掲げ12年度からの実施を提言していた。
 石油石炭税(税収総額4,800億円)の増税分は、CO2排出抑制のための政策に充てる。初年度で約350億円、平年度で約2,400億円の税収を見込む。税率の引き上げ幅は石油製品の場合、来年10月から250円、14年4月から250円、16年4月に260円と小刻みに上乗せを行い、最終的に760円の増税となる。
 全石連は「東日本大震災から日本経済を復興し立て直さなければならない時期に、温対税のさらなる負担増には強く反対」してきた。また自動車が生活必需品となっている地方、とりわけ震災の被災地ではさらに過重な負担を強いることになるため、その導入に疑問を呈してきた。
 最終消費者に石油製品を供給するSS店頭でも、小刻みな引き上げのうえリットル換算では銭単位の増税になるために「とても転嫁できない。SS業界がすべて被り込まなければならなくなる危険性もある」との懸念が広がっている。
 沖縄県におけるガソリン税の軽減措置については、予算編成も踏まえながら引き続き検討を行うとし結論は先送りとなった。




 

  
◆エネ庁・来年4月、E10ガソリン規格導入
 (12月7日付)
 
資源エネルギー庁は来年4月1日の施行に向けて、E10(エタノール10%混合ガソリン)の日本国内での将来的な導入を見据え「揮発油等の品質の確保等に関する法律(品確法)」の強制規格を改正し、現行のE3からE10に引き上げる。E10対応ガソリン車として登録を受けた自動車に限定し、SSでE10を販売できるよう揮発油規格の特則を定める。
 品確法に基づく規則については大気汚染防止法において環境大臣が定めた許容限度が確保されるよう考慮して自動車燃料に係る規制を定めなければならない。環境省の中央環境審議会でE10対応ガソリン車の排出ガス基準の許容限度が示されたことから、E10対応ガソリン車限定でE10を販売できるようガソリンの強制規格を改正することとしている。
 このほか、脂肪酸メチルエステル(バイオディーゼル=BDF)が混合した軽油の酸化劣化の指標を示す規格も新たに追加することとしている。


 

  
◆エネルギー有識者会で安定供給対策支援強化を要請
 (12月7日付)
 
資源エネルギー庁は12月2日、東日本大震災を踏まえた今後の石油製品の安定供給確保策について、石油業界関係者や防災の専門家・消費者代表などから意見を聴く「資源・燃料政策に関する有識者との意見交換会」の第3回会合を開催した(写真)。消費者の立場から日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会の大石美奈子氏と東京都地域婦人団体連盟の飛田恵理子氏が災害時の石油・ガスの安定供給確保を求めたほか、東洋大学教授の小嶌正稔氏が災害時の石油供給体制のあり方などをプレゼンテーションした。
 大石氏は、災害時に拠点となる病院や警察・消防署のほか、避難場所となる学校・公民館などの公共施設に太陽光に加え、軽油・ガスを燃料とした冷暖房器や給湯機器の平時からの使用が重要であると指摘。役所や公民館での備蓄対策に加え自家発電設備の設置などを提案した。
 飛田氏は全石連や石油連盟が提言した緊急時の情報収集制度の構築と効率的な運用、自治体との平時からの連携強化などを指摘したほか、高齢化する被災地住民のために灯油の移動販売を行うなど、「SSの空白地を作らないようにすることが必要」と訴えた。
 また、小嶌氏は製油所・油槽所段階における①自家発電設備の設置②情報通信網の整備③油槽所の設備強化④ローリー対策を挙げたほか、SS段階での対策として最適立地・タンク容量・高速道路アクセスなどの要件を満たした災害対応型SSの強化・拡充を提言した。
 一方、全石連の関正夫会長は「この度の災害を理由にして(SSを)やめようという方もおられる。やめられる方は支払い能力があるからやめられるが買掛金がたくさんあってやめられない方もいる」と業界を取り巻く厳しい経営実態を説明。「緊急時の対応といっても国が全額補助してくれるわけではなくお金がかかる」と国による政策支援の強化を求めた。
 このほか河本博隆副会長・専務理事が今回の震災で災害対応型SSが果たした役割について「太陽光発電については発電効果が薄かった。自社SSの地下タンクにある燃料で発電できる自家発電機のほうが有効に機能した」と述べ、災害時には「自家発電機で給油できる体制を整備をしていくべき」と訴えた。