2011年9月


 
◆12年度概算要求・流通網強化を大幅拡充
 (9月30日付)
 
経済産業省は9月29日に2012年度予算概算要求を発表した。石油流通支援予算は今年度当初予算比10億円増の160.4億円を要求する。地震などの大規模災害発生時に石油製品の安定供給を確保する「石油製品流通網維持強化事業」を大幅に拡充し、SSを中心とした石油サプライチェーンの維持・強化を図っていく。経年地下タンクの消防法改正省令対応の支援補助については、震災からの復旧やSSの災害対応を急ぐ観点から今年度第3次補正予算に盛り込んで支援を継続していく計画だ。
 具体的には緊急時に備えた石油製品流通網の維持・強化に向けて今年度の2億円から56.1億円に大幅拡充する。地方自治体や元売・地元石油販売業者らで地域での中核的な拠点SSを選定。大型発電整備の設置や地下タンクの大型化・ミニローリーの追加配備などを支援し災害対応能力を強化する。また中核SSをバックアップしていくため、周辺SSに対する小型発電機の設置支援や石油組合などへの発電機・手回しポンプとの配備なども支援していく。
 環境規制への対応では総額47.1億円を計上。SS撤退時における地下タンクの放置防止に向けてタンク撤去費を補助するほか、石油製品供給不安地域でのタンク入換支援に前年度と同額の41.6億円を措置する。また地下タンク・配管からの油漏れの早期発見に向けて土壌汚染の有無を検査する土壌汚染検知検査補助事業など環境対応型石油製品販売業支援には今年度と同額の5.5億円を計上した。
 さらに将来に向けたSSの経営基盤強化策として、SSの次世代化を支援していくため6.3億円を要求し、新たなビジネスモデルを検証する研究会の設置・実証事業の展開、人材育成支援などを行う。
 公正・透明な競争環境の整備に向けては同額の2.8億円を要求し、石油製品価格の卸・小売価格を全国規模で調査するモニタリング事業を引き続き行っていくほか不公正な競争が疑われる地域については詳細な価格実態調査も実施していく。石油製品の品質確保に向けた試買分析も17億円を要求する。このほか地理的な要因で流通コストが割高で販売量も少ないためにガソリン価格が相対的に高い離島対策として、石油販売業者の流通コスト差分を補助し島民向けの小売価格を実質的に引き下げる「流通コスト支援事業」も同額の31億円を要求する。
 一方、現在政府内で検討を進められている第3次補正予算案では12年度概算要求で盛り込んだ災害対応型中核SSを東日本大震災の被災地を中心に先行整備していくほか、被災地SSの復興を後押ししていく観点から地上タンクの復旧補助や被災したミニローリーの導入補助・全壊したSSの移転補助などを行っていくことを検討している。このほかSSの災害対応に向けて消防法改正省令で義務付けられた経年地下タンクのFRP内面ライニング施工などを補助する「地下タンク環境保全対策事業」は3次補正に盛り込む予定。防災・減災の観点から被災地のみならず全国を対象に今年度事業と同スキームで実施する計画だ。




 
 
10年度軽油引取税収・17年ぶりに前年上回る
 (9月28日付)
 
機関紙「ぜんせき」がまとめた全国47都道府県の2010年度軽油引取税収入額(兵庫を除く)は、前年度比0.9%増の8,793億円となった。兵庫の収入額が前年度並みであれば1993年12月に暫定税率(10年4月からは特例税率)が32.1円/Lに引き上げられて以来、17年ぶりに前年度の収入額を上回ることになる。県税収入が前年度割れになる中で、軽油引取税は都道府県の自主財源としての重要性を示すとともにその存在感を発揮している。ただ一方で、10年度は夏場の猛暑による需要増によって、税収アップにつながったと見られるが、3年連続で1兆円の大台を割り組むのは確実な情勢で、軽油を取り巻く需給環境の好転にはまだほど遠い状況が続いている。
 10年度の軽油販売量は前年度比べ1.5%増の3,286万KLと6年度ぶりに前年度を上回った。上期は猛暑などの影響で4%増の1,625万KLに達したものの、下期は0.9%減の1,661万KLに落ち込んだ。3月が8.5%減の274万KLに減少するなど東日本大震災による需要の落ち込みを色濃く反映する結果となっている。
 こうした販売動向を反映して各県の軽油引取税の収入額を見ると、前年度を上回ったのは46都道府県中33府県にのぼっている。増加率が最も大きかったのが5.6%増の愛知。前年度を下回ったのは13道都県で、東北地方を中心とした被災地の減収が目立ち震災による需要の落ち込みが響いた格好だ。特に地震・津波による被害に加え原発事故に苦しむ福島は7.4%減と最も下落幅が大きく、震災からの復興が今後の軽油の需要動向や軽油引取税収入にも大きな影響を与えそうだ。
 県税収入に占める軽油引取税の割合を見ると、全国計では前年度比0.3%増の5.9%に上昇し3年連続で前年度の割合を上回った。10%を超えたところは1県増えて、北海道・青森・岩手・秋田・山形・福島・新潟・栃木・三重・富山・鳥取・島根・佐賀・熊本・宮崎・鹿児島の16道県となったほか、前年度の割合を上回ったところが北海道と未確定の兵庫を除く45都府県にのぼるなど県税収入での存在感を高めている。
 また長引く景気の低迷や震災の影響などから県税収が悪化する中で、石油組合をはじめとした軽油の流通・販売に関わる団体と自治体・警察などで構成する47都道府県の不正軽油対策協議会を中心とする不正軽油撲滅対策への積極的な取り組みも軽油引取税の課税適正化に重要な役割を担っている。






 
 
◆全石連「緊急時石油流通円滑化法(仮)」を提言
 (9月21日付)
 
経済産業省の総合資源エネルギー調査会で行われるわが国のエネルギー政策の見直しに際し、全石連は「緊急時石油流通円滑化法」(仮称)の導入を提言する。大震災での経験を踏まえ、国内での災害・緊急時における石油製品の円滑供給のために、平時より石油流通関連の情報を資源エネルギー庁に集中し最適配分する仕組みなどについて法的枠組みが必要と訴える方針だ。情報収集拠点としての石油組合の役割や、地域単位での自治体と地場SSとの連携強化なども盛り込む。
 提言案は政策・環境部会(西尾恒太部会長)で議論・検討し、先週の全石連理事会と油政連理事会で了承された。
 大震災では電気・都市ガスなどのライフラインが寸断される中、緊急車両用の燃料や病院や浄水場などの重要施設での発電機用燃料が必要とされた。また被災者の暖房用灯油や食料調達のための自動車用燃料の需要が急増するなど、石油は「緊急時必需品」として強く認識された。
 これに対し分散独立型のエネルギー供給拠点として地場SSが立ち上がり、さらに石油組合がそのネットワークを生かして国や自治体・公的施設からの緊急要請に応えた。しかし生産・流通・在庫・配送に係る情報が十分把握できなかったり、受注・配送が錯綜するなど支障が生じたケースもあった。
 こうした経験をもとに提言する「円滑化法」は、法に基づく石油流通関連情報のエネ庁への集中、災害発生時の迅速かつ的確な配送等の指示などを柱とし、地域の拠点として石油組合の役割も明記するよう求める。同法案には緊急時重点供給SSの指定や自治体と連携した製品備蓄の導入、学校や駅などへの発電機の配置や年2回程度のメンテナンスなどを義務付けることも盛り込んだ。
 そのほか石油組合が地域単位で自治体と締結する災害時協定の見直しや、官公需適格組合としての実効性担保なども求めていく。





 
 
◆枝野経産大臣インタビュー「緊急時の安定供給体制再構築必要」
 (9月21日付)
 
枝野幸男経済産業大臣は9月15日、機関紙「ぜんせき」などとのインタビューでエネルギー政策における“石油”の位置付けについて、「中期的には石油に依存する部分が高まることはあっても下がることはないだろう」との認識を示す一方、「産油地域には偏りがある」「間違いなく原油価格は右肩上がり」という構造的な問題を指摘しエネルギーのベストミックスの必要性を強調した。また石油のサプライチェーンの維持・強化に向けて、「緊急事態においては企業の枠を超えて一体となって対応していただくような努力・準備を平時からしっかりやっていただく必要があるのではないか」と安定供給体制の再構築の必要性を強調した。
 ―エネルギー政策において“石油”をどう位置付けていくか。
 エネルギーのベストミックスは、エネルギー・環境会議を中心に抜本的な議論をしなければならないと思っており、それをあまり先取りして申し上げるべきではないと思っているが、少なくとも中期的には石油に依存する部分が高まることはあっても下がることはないだろう。ただ石油の産油地域には偏りがあるほか、新興国・途上国の発展によって間違いなく原油価格は右肩上がりである。こうした構造を考えるとできるだけエネルギーとしての依存度を下げるための努力はしなければならない。石油は同時にさまざまな素材の原料である。この部分のところは代替性がないわけであるから、もっと重視しないと大変なことになる。
 ―石油製品の安定供給に不可欠な石油サプライチェーンの維持・強化のあり方について。
 ガソリンを中心として、(震災時に)官邸にいて「なぜガソリンが届かない」という悲鳴に近い声を受けていた当事者として復旧が早かったとは残念ながら言えないと思っている。それはガソリンなどの流通プロセスがこういった大きな災害を予期したものではなかった。関係業界の方々は一生懸命努力していただいたが、そもそも物理的に困難があった。末端のSSが壊れているということで、近くまで行っても実際の消費者への供給が難しかった。これは率直に申すと、企業間の連携がうまくいかなった。緊急事態においては企業の枠を超えて一体となって対応していただくような努力・準備を平時からしっかりやっていただく必要があるのではないか。
 ―温暖化効果ガス25%削減目標について。
 温暖化効果ガス25%削減はあくまでも主要国が一致して取り組むことが前提である。そこがなかなか困難な状況にあるのが現状。この目標は変えていない。なによりも大事なことは、米・中含めた主要国が揃ってこの問題に取り組んでいくことが重要である。それをどのように作り上げていくのかが日本にとっても世界にとっても大変大事なこと。我が国の数値目標をどうのこうのというよりも、そのための努力をどうしていくかということが問われているのではないだろうか。
 ―石化原料ナフサや原料炭への免税措置について、本則恒久化が関係業界から要望されているが。
 民主党政権は租税特別措置の原則廃止を掲げている。租税特別措置は、止める部分と、従来租税特別措置で行われていたが実は本則でやるべきものとがあると思う。これは財政当局との調整が大変であるがいまご指摘いただいたナフサなどはむしろ恒久化をもっと早い段階でしておくのが筋だったのではないか。2年に一度陳情させるために変なことをやってきたのではないかと思っている。

 

 
◆被災地SSの漏洩防止対策猶予期間を16年1月に延長
 (9月16日付)
 
総務省消防庁は9月15日付で、東日本大震災の被災地域を対象に、SSなどの経年地下タンクに義務付けているFRPライニング施工など漏洩防止対策の猶予期間を2年間(2013年1月31日まで)から、さらに3年間(16年1月31日まで)延長する省令改正を施行した。
 消防庁は今年2月1日に施行した省令改正で既設の地下タンクの設置年数(概ね40~50年)や塗覆装の種類及び設計板厚から腐食の恐れが(特に)高いものを対象にFRPや電気防食などの漏洩防止対策を講じることを義務付けた。経過措置として13年1月31日までの2年間の猶予期間が設けられた。
 全石連では消防庁に対し、大震災発生でSSも甚大な被害を被り中小販売業者が大勢を占める石油販売業界で13年1月31日までの2年間の猶予期間で漏洩防止対策を実施することは困難として、定期点検などを現状のままとして16年1月31日までさらに3年間延長するよう強く求めてきた。
 今回の改正では青森・岩手・宮城・福島・栃木・茨城・千葉の7県で災害救助法(東京都を除く)が適用された市町村(ぜんせきweb参照)のSSが施設の損壊を証明する書類を市町村に提出、地下タンクの安全を確保することを条件に、3年間延長(16年1月31日まで)されることになった。
 安全確保策として、設置年数が概ね50年以上の腐食の恐れが特に高い地下タンクは高精度油面計の設置が要件となっているほか、タンク内の危険物の量を継続的に記録し危険物の流出の有無を確認する統計的手法を用いた漏洩対策(SIR)もその要件に認められる予定。また、概ね40年以上の腐食の恐れが高い地下タンクは定期点検及び漏れの点検を6ヵ月に1回以上行うことなどが要件となる。
 期限の延長適用を受けようとするSSは、13年1月21日までに①申請書②SSの損壊証明書類③在庫管理方法や漏洩が確認された場合の措置などを記載した計画書を市町村長等に提出しなければならない。




 
 
◆エネ庁・元売ヒアリング結果 系列内仕切格差=6.3円
 (9月16日付)
 
資源エネルギー庁石油流通課が15日公表した元売ヒアリング結果によると、同一元売・同一県内における仕切格差は全元売平均で昨年4月の6.1円から今年4月には6.3円と小幅な拡大を示した。非系列取引については需給調整の観点からスポット的な取引を行っている元売がある一方で、JAや商社系などの非系列SSに継続的な供給を行っている元売がある。卸価格は採算を重視した値決めを行っているとし、6月の系列・非系列価格差は3.9円と前年の4.3円(2010年7月)からは縮小した。子会社に対しては特約店と同じ取引条件を適用し、優遇は一切ないとした。卸格差はボリュームインセンティブの差などにより今年7月は0.7円程度と前年の0.8円からは小幅縮小となった。
 石油流通課では8月上~中旬に元売9社の販売担当役員らにヒアリングを実施、公正な競争環境の整備に重点を置き販売業者から強い不満の声があがっているブランド料などの引き上げによる系列玉と業転玉との卸価格差について聴取した。また大震災の経験を踏まえ災害に強い物流・販売網の構築に向けた今後の課題などについて意見交換した。
 各社とも石油製品の需要減退からSS数の減少は避けられないとしながらも、系列特約店・販売店を通じた販売をリテール戦略の柱と位置付け、系列SSの競争力強化による販売網の維持・強化に取り組むとした。
 ブランド料など販売関連コストの引き上げた2010年度上期の新・新仕切価格体系について、特約店・販売店から不満の声があがっていることは認識しているものの安定供給、品質確保、POS・カード等販売システムの提供などの付加価値を提供するもので事業継続上不可欠との認識を示した。引き続き特約店・販売店から十分理解が得られるよう説明していくとした。
 震災発生後、各社とも被災地への供給確保を最優先。系列SSに差異なく支援や対応を行い被災地以外の特約店・販売店に協力を求めて供給制限を行ったところや、子会社の供給を絞り系列特約店への供給を最優先した元売もあった。
 輸入については生産能力と国内需要の見合いで行い、主に国内への安定供給確保が中心だが一部に製品の国際流通の活発化を見据え輸入品の品質確保に向け供給体制の見直しを図り輸入商社と協議している元売もあった。輸出は余剰対策として中間留分を中心に実施するも、今後はアジアをマーケットとして期待する声もあった。
 一方で元売合併で製油所や油槽所の再編が進んでいることから各社とも今後のバーター取引契約の先行きを注視していることがわかった。






 
 
◆枝野経産大臣・エネルギー政策構築へ意気込み
 (9月14日付)
 
枝野幸男経済産業大臣(写真)は9月12日の記者会見で、原発事故を踏まえた今後のエネルギー政策の構築に向けて「エネルギー供給・電力供給ができる新しいシステムを作り上げていくために全力挙げる」と意気込みを語った。そのうえで総合資源エネルギー調査会での議論を「できるだけオープンな議論の場にすべき」と述べた。
 また、再生可能エネルギーの普及については「原子力の依存度を下げる意味からも、CO2の排出量を下げるためにも、日本の製造業の発展を目指すうえからも、非常に重要である」とし「その普及・拡大なくして21世紀の日本は成り立たない」と、その重要性を強調した。
 一方で、鳩山政権時代に掲げた温室効果ガス25%削減目標については、「温室効果ガスの削減に向けて可能な限りの最大限の努力をしていくことに変わりはない」としながらも、原発事故によるエネルギー政策の見直しを踏まえて「議論が必要だ」との認識を示し、議論を踏まえた見直しの必要性にも触れた。
 今後の原子力政策については、省エネの推進や新エネの開発を進めるなどして原子力発電所が国内でゼロになったとしても、国民生活や産業活動が成り立つ環境を作ったうえで原発が必要かどうか国民的な議論を行う必要があるという考えを示した。



 
 
◆経産省・3次補正主要項目に石油供給網の整備
 (9月14日付)
 
経済産業省は9月9日、今年度第3次補正予算の編成に向けた災害に強い石油・ガスの製造供給設備及び石油製品供給網の整備などを盛り込んだ主要要求項目を発表した。震災からの再建・再生支援、原発事故・震災への対応など①被災地の復興に向けた支援と、円高対策を含む②産業空洞化の回避・新たな成長の実現、節電エコ補助金の創設・資源確保・石油製品供給網の整備など③エネルギーの新たなベストミックスの実現の3本柱で構成されている。
 ③の実現に向けて、国家石油製品備蓄を置く石油基地などの災害時における供給設備能力の強化を図っていくほか、給油所に至る石油のサプライチェーンの維持・強化など、災害発生時における被災地への石油製品供給の安定化に向けた体制整備を図る方針。具体的な制度概要や支援措置の中身などは今後さらに詳細を詰めていく。
 また、一般家庭や中小企業・公共施設などでの節電促進策として新たに「節電エコ補助金」を創設。家庭での太陽光発電システムやリチウムイオン蓄電池・家庭用燃料電池「エネファーム」の導入・家庭内の消費電力の管理・抑制を図るホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)の設置などに総額2,000億円を要求する方針。さらに円高のメリットを活かし、電力供給確保に向け天然ガスの探鉱・ガス田の買収などを行う企業への出資も拡充していく。



 
 
◆政策・環境部会 緊急時供給体制の整備必要
 (9月9日付)
 
政府は今後東日本大震災とそれに伴う原発事故を契機にわが国のエネルギー政策の見直しについて議論するが、全石連は9月7日の政策・環境部会(西尾恒太部会長)でその見直しに向けた石油販売業界としての提言案について議論した。大震災後、地場給油所や石油組合が救急車などの緊急車両や病院などへの燃料供給に取り組んだ経緯を背景に、石油製品の円滑供給に向けた体制整備を求める意見が相次いだ。
 大震災と原発事故によって従来のエネルギー政策は大幅な見直しを迫られる見通しだ。石油業界としては石油を基幹エネルギーに位置付けたエネルギーのベストミックスを訴えていく方向で、これまでの脱石油やエネルギーの効率的供給を重視した政策の見直しを求める。
 その一方で、震災直後から緊急車両用の燃料や病院などの発電機用燃料などの需要が急増するなど石油製品の「緊急時必需品」としての特性が認識されたことと、さらには寸断されたライフラインの中で地場給油所は分散型エネルギーインフラとして最も早く立ち上がり地域の緊急要請に応えたことなどから、石油販売業界として石油サプライチェーンの維持や緊急時における石油製品の円滑な供給体制の確立を求める声が相次いだ。
 こうした経緯をもとに、緊急時に備えて石油組合が地方自治体との間で締結している災害時供給協定の内容の見直しや、「官公需適格組合の実効性担保が必要」との意見が出された。
 特に緊急車両などの官公需要については、一般競争入札で落札していた事業者が供給不能に陥り、その代わりに石油組合が地場の組合員給油所との連携でこうした需要に応えたものの供給が正常化した後には再び価格重視の競争入札が復活するなど「震災での経験が生かされていない」との指摘も多く、全石連としての提言に盛り込むべきとの意見が相次いだ。


販売業界の視点からエネルギー政策見直しを訴える西尾部会長



 
  
◆鉢呂経産大臣が就任会見
 (9月5日付)
 
鉢呂吉雄経済産業大臣(写真)は2日夜、初閣議後の記者会見で、震災・原発事故を踏まえた新たなエネルギー政策の策定に向けて、総合資源エネルギー調査会を今月中に発足して議論を始める方針を示した。同調査会の結論については、政府のエネルギー・環境会議が年内に中間指針を出すことを踏まえ「それ以前に出さなければ意味がない」と、早急に結論を出す考えを強調した。
 一方で、「議論の進め方が閉鎖的で、インサイダーだけで行われてきたのではないか」という批判があることについて、「委員の人選も含めて、私が相当なリーダーシップを取って、幅広いみなさんのご意見、国民にも開かれた議論を行っていきたい」と述べた。
 また、温室効果ガスを2020年までに1990年比25%削減にするという目標について、「鳩山政権時代に国連で打ち上げて、その後震災で原発問題が出てきて、その枠組自体が変わってきている」と指摘。「(現状のエネルギー基本計画では)原子力発電で賄うというスキームだったので、変えるべきかそれとも変えずに25%削減を堅持できるかどうかもう少し具体的に検討することが必要」と語った。
 今後の中小企業対策は、「新たな工場や研究開発施設の新設は思い切って措置していく」と、第3次補正予算で徹底していく考えを示した。円高と産業空洞化問題については、「円高の影響調査では中小企業が海外移転を検討しているというような危機的な状況にある。逆に超円高は輸入品目にはプラスの効果となる。これをどのように活かしていくかが重要」との認識を示した。






 
 
◆沖縄・沖縄振興局長にガソリン税軽減の継続要望
 (9月2日付)
 
沖縄の復帰に伴う特別措置による同県内のガソリン税が1リットル当たり7円軽減されているが、来年5月の期限切れを控え同措置の継続が困難視されていることから、沖縄県石油組合の金城克也理事長と全石連の河本博隆副会長・専務理事は8月30日、内閣府の竹澤正明沖縄振興局長を訪ね「期限切れになれば県民生活に与える影響は計り知れない」として軽減措置の継続実施を強く求めた。
 復帰特別措置に伴うガソリン税の軽減措置は、これまで5年ごとに延長措置が講じられてきたが、一方で沖縄振興一括交付金制度の創設など新たな沖縄振興計画を策定する動きが活発化している。そのため復帰特別措置を根拠に行われてきたガソリン税軽減という税制面での措置継続が不透明になっているのが実情だ。
 竹澤局長に対し金城理事長は、「県民所得は未だ全国最下位で失業率も最も高い。同措置による2009年度のガソリン税の軽減額は45億円であり、沖縄の発展に大きな経済効果を生み出している」と述べ、「新たな振興計画においても、これまでと同等に税の軽減措置を継続実施していただきたい」と訴えた。河本副会長も「沖縄の置かれた歴史的経緯や、移動のほとんどが自動車に依存している沖縄の実情を考えると、軽減措置の延長は当然行われるべきである。石油販売業界として全力で要望運動を実施する」と強調した。
 これに対し同局長は「沖縄の皆さんの気持ちはよく理解している。措置延長のための理由や必要性など明確にしていく必要がある」と述べた。
 金城理事長と河本副会長は引き続き地元選出の国会議員や有力議員を訪ね、軽減措置継続を求めていく方針。


竹澤沖縄振興局長に要望書を手渡す金城理事長(左手前)と河本副会長