2011年5月


エネ研・震災で火力向け需要上ぶれ
 (5月25日付)
 
日本エネルギー経済研究所は5月23日、東日本大震災による石油需要への影響についてまとめた。鹿島製油所(日量25.25万バレル)の6月初旬生産再開や元売各社の製品輸出の再開、民間備蓄義務引下げ終了など、「石油供給体制は震災前の状態へ戻りつつある」とした。また、中部電力浜岡原子力発電所の稼働停止や東京電力広野火力発電所の夏以降の稼働を踏まえた発電用の石油製品需要増加は、2009年度比日量14~16万バレル(約2.2~2.6万キロリットル)増加するとの見通しを示した。
 震災によって生産・入出荷設備などを被災した鹿島製油所は6月初旬に生産を再開することがこのほど明らかになった。エネ研では、震災の影響で稼働を停止している製油所はJX日鉱日石エネルギーの仙台とコスモ石油の千葉の2ヵ所のみとなり、「国内の精製能力の約90%が生産可能な状況になる」と分析した。
 また資源エネルギー庁は20日に、3月14日から継続していた民間備蓄義務引下げを終了し、21日から備蓄義務日数を70日に戻すことを発表している。
 一方、震災以降国内の製品供給確保のため停止されていた石油製品輸出も徐々に再開されている。石油連盟の週報によると、5月8~14日でジェット燃料や軽油、高硫黄C重油を中心に計約40万キロリットルの製品輸出がなされ、「前年同期(10年5月9~15日)の輸出量約43万キロリットルの水準に近づきつつある」とした。今後の動向についても「中国市場においては最近経済活動の好調ぶりを反映して軽油需要の増加が著しく、中間留分を中心とした輸出が続けられていく」と推測した。 一方、発電用の石油需要を巡る状況についてはエネ研では4月26日に09年度比で日量11~14万バレル(約1.8~2.2万キロリットル)増加するとの見通しを示していたが、浜岡原発の停止や広野火力の再開など、発電用の石油需要増につながる新たな状況変化が見られることから、「14~16万バレル(約2.2~2.6万キロリットル)の需要増加になる」と上方修正した。

 
 
 
全石連、文科省「原発損害」審査会で説明
 (5月18日付)
 
全石連の河本博隆副会長・専務理事は5月16日、東京電力福島原発事故の賠償範囲を検討する文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会(会長・能見善久学習院大教授)に出席し、原発事故に苦しむ石油販売業者の厳しい経営状況について報告した(写真)。避難区域(半径20キロメートル圏内)指定され、生業や故郷を奪われた石油販売業者のみならず、避難区域外でも地元住民や取引企業の避難、観光客の激減、さらに風評被害の拡大などによって著しい収益悪化に陥っている販売業者の損害についても「補償の対象にすべき」と強く訴えた。能見会長は「この審査会において被害に対する賠償ができるように検討していきたい」と、原発事故被害に苦しむ中小企業の賠償に前向きに取り組む考えを示した。
 冒頭、河本副会長・専務理事は、福島原発事故で営業停止に追い込まれているガソリンスタンドは震災発生当初は48ヵ所だったが、その後地元自治体の要請により避難住民や緊急車両への石油製品供給のため営業を再開したところもあり、「現状では37ヵ所が営業を停止している」と給油所の被害状況を報告した。また、原発事故に伴う給油所の具体的な経営被害の状況について、南相馬市内の給油所では、3月15日に屋外退避区域に指定され、一時営業を休止したが、「地元自治体の要請で燃料供給を続けているが、依然として自主的に避難している住民や取引先企業が多いために、ガソリン、灯・軽油の販売は前年同期に比べ3割弱も減っている」と説明した。規制区域の近隣に位置する小野町内の給油所では風評被害により「通行車両や県内外からの観光客などが減少し、燃料油販売が半減している」と訴えた。
 一方、福島第1原発から60キロメートル以上離れた郡山市内の給油所では、規制区域内よりも放射線量が高いことを理由に、「取引先の支店・営業所などが相次いで撤退・縮小しているために、2割近い落ち込みになっている」ことを指摘。また、上記と同じ規制区域外のいわき市内の給油所では、「主要な取引先が規制区域内にあるために販売先を失い、販売量が3割減となっているほか、一部からは売掛金の回収ができないといった状況にある」と述べた。 このほか、約130キロメートル離れた茨城県大洗町内の給油所でも、「風評被害により通行車両や観光客が激減し、販売量が2割も減少している」と、厳しい経営実態にあることを説明した。今後は審査会の議論と平行して、福島・茨城県内などの風評被害の実態を調査していく必要がある。
 
 

 
 
  
原発エリア内の休業給油所に救済策要望
 (5月16日付)
 
東日本大震災に伴う原子力発電所事故で、警戒区域や計画的避難区域内の48ヵ所の給油所が休業を余儀なくされている。このため全石連の復興対策本部はこれらの給油所の営業損害に対し迅速な賠償が行われるよう求めている。5月12日には避難区域である福島県選出で中小企業政策推進議員連盟会長の増子輝彦参議院議員に河本博隆副会長・専務理事が実情を説明し、損害賠償の実施に向けた支援を要望した。増子議員は「政府としても原子力被害者に対する緊急支援措置を行うことを決めており、給油所に対しても十分な対策が講じられるよう努める」と述べた。
原発事故後、休業しているリストを示して増子議員(右)に支援を求めた。 

 
 
 
全石連「給油所15%節電」へ対策メニュー提起
 (5月16日付)
 
全石連は政府の要請を踏まえ「計画節電」に率先して取り組むこととし、5月13日にその概要を公表した。東京(9都県)と東北(7県)の2電力管内を対象に、基本方針として①石油連盟と一体となった取り組み②「節電メニュー」は自主的に県単位で実施③消費者に対する周知の徹底―を柱にする。ピーク時間帯(平日の午前9~午後8時)における使用最大電力を15%抑制するための計画とする。これに併せて「ぜんせき」本号に給油所店頭掲示用「節電ポスター」、個別具体策PR用に「ぜんせきweb」でポスター連動の短冊5類型を提供する。
 石油連盟と一体となった取り組みでは「元売各社と連携して取り組む」、「元売各社には子会社給油所を含むすべての系列給油所において実施されるよう系列指導を要請する」。
 自主的に県単位で実施する「節電メニュー」は1給油所当たりの使用最大電力を15%抑制することを目指す。具体的に①空調・照明機器等の節電(空調・照明機器等の節電により、その他営業に支障のない範囲において可能な限りの節電に努める(表は18%削減モデル例))②営業時間の短縮(一時閉店=営業時間を短縮「一時閉店」する)③休業日の設定(平日5日間のうち、「休業日」を1日設ける。休業日が偏らないようにするため、「輪番休業」により実施)④上記の組み合わせによる節電―の4つのメニューを提示し、地域の消費者が混乱しないように、県単位をベースに、選択した節電メニューを実施する。石油組合は、選択した節電メニューに応じて「自主基準」を設定する。
 一方、こうした取り組みを消費者および社会全体に周知徹底するために、セールスルームなどの見やすい場所に、「節電中」である旨のポスターを掲示(本号提供、石油連盟と全石連の連名)し、また「昼間消灯を実施中です」など具体的な節電対策をポスター余白に貼付する(ぜんせきwebで5類型を提供)。 実施期間は本日5月16日以降、地域ごとに自主的に実施する。また、東京、東北の2電力会社管内以外で節電に自主的に取り組む給油所は、4つの「節電メニュー」を参考にして、自主的に取り組むものとし、実施の際は「節電中ポスター」を掲示する。 
 
 

 
 
 
兵庫・被災給油所スタッフ受け入れへ具体化策を検討
 (5月9日付)
 
兵庫県石油組合(中村彰一郎理事長)は東日本大震災の被災地の石油販売業界を継続的に支援するため、被災地給油所従業員の兵庫県下への移住の可能性を検討している。具体的には移住する従業員の職場と住宅を提供することで生活できる環境づくりを進めることを目指すもので、現在は兵庫県に対し復興住宅の確保の有無を打診するとともに、同石油組合の組合員に対して被災地の給油所従業員を雇用する可能性を聞くアンケートを行うことにしている。
 同石油組合は16年前、阪神淡路大震災の経験とその際に支援を受けたことから、3月末には義援金を送るなど被災地支援に乗り出している。さらに同業者としての継続的な支援を目指し、被災地の給油所従業員が当面、他府県への移住を求めることを想定。その受け入れ体制を整備できるよう現在、自治体・組合員へ調整を続けている。
 生活支援を骨子とする内容は「被災地の給油所従業員に兵庫県で雇用機会と住宅を提供する」というもので、雇用は同石油組合の組合員給油所で、住宅は自治体が有する復興住宅を考えている。
 このうち復興住宅に関しては兵庫県との交渉で全面的な協力体制を確約されたが、実際に入居可能な住宅に地域的な制約があるため雇用との関係でどこまで実現可能であるかなどを調整する段階に入っている。
 今後はさらに居住可能な住宅の拡大などを自治体と交渉し、その間に組合員へ従業員受け入れについてアンケートを行い、環境が整えば被災地石油組合などを通じ支援を申し出ることにしている。
 

 
 
 
官公需適格組合制度の強化へ支援要請
 (5月2日付)
 
東日本大震災の発生後、石油製品の供給不足が続いた際に緊急車両への給油や病院などへの石油製品の調達・配送などを行ったのが地場の組合員給油所であり、その手配を行ったのが石油組合だったことから、全石連(関正夫会長)は官公需適格組合制度の強化を求めていくことにした。4月26日には民主党の中小企業政策推進議員連盟会長である増子輝彦参議院議員に対し、河本博隆副会長・専務理事が震災における具体例などを説明し制度強化に向けた支援を要請した。
 官公需適格組合は中小企業者の受注機会の確保のために国や地方公共団体が調達する物資を十分に責任をもって供給できる協同組合などを中小企業庁(実質的には各経済産業局長)が証明するもの。
 全国の多くの石油協同組合が指定を受け、県や市町村などとそれぞれ契約してきたが、最近は、地方公共団体などが行政経費削減などを理由に一般競争入札に切り替える事例が増えていた。しかし、今回の大震災によって石油製品の供給不足が広がった東北や関東地区では一般競争入札で落札した事業者が給油所を閉めるなどして供給できなくなったことから、行政機関からは各県の石油組合に供給依頼が殺到。各組合では組合員と連絡を取り合い緊急を要する公共施設などに優先的に供給を行った。
 供給不安が収束したあと一部の公共施設では今回の経験から競争入札をやめ適格組合である石油組合と随意契約に切り替えるケースがみられるが、再び一般競争入札に戻っているところが多い。
 増子議員に対し河本副会長は、「被災地域での調達については地場の組合員が連携して対応し、その重要性が証明された」と述べ官公需適格組合の実質的な制度強化に向けた支援を求めた。増子議員は「発注側の考え方が問われることになる。中小企業庁とも相談し実態を調べ、今後どういう方向で行くか考えていきたい」と述べた。
 
中小企業政策推進議連の増子会長(左)に実情を説明する河本副会長・専務理事
 
 
 
土壌汚染検知検査事業の申請受付を開始
 (5月2日付)
 
全石連は5月2日から地下タンクからの油漏洩による土壌汚染の未然防止を図る土壌汚染検知検査事業の申請受付を開始する。給油所地下タンク・配管などからの油漏れを早期に発見し、周辺地域の土壌・水質汚染の拡大を防ぐのが狙いだ。
 具体的には、消防法に告示された地下タンク・配管の漏れの点検を3年に1回検査する際に、1給油所あたり100万円を上限にその3分の1を補助する。品確法の登録を受けた中小揮発油販売業者(小売業は資本金5千万円以下・従業員数50人以下、卸売業は同1億円以下、同100人以下)が対象となる。
 また、地下タンク・配管の2次検査(上限200万円)、漏洩検査管調査(同100万円)、ボーリング調査(同200万円)、油含有土壌除去(同500万円)の土壌汚染調査・対策についてもそれぞれの上限額の3分の1を補助する。
 申請は加入する石油組合を通じて行う。補助金の交付決定前に検査を行った場合、補助金の交付対象にならないことから注意が必要だ。