2010年2月


 

◆ 昭和シェルも卸見直し検討
(2月26日付)
 
 昭和シェル石油の香藤繁常会長と新井純社長は2月23日に記者会見を開き、2009年度業績予想、事業環境の認識、中期経営ビジョンの実行プランを説明、石油事業のビジネスモデルを“量販から質販”にチェンジする考えを強調するとともに、卸価格体系を改善する必要性を指摘したうえで、見直しに向けて慎重な検討を行っていることを重ねて述べた。
 香藤会長は「12万バレルの能力削減を決めたことで、2次装置の装着率は28%から37%へと向上、すべての処理が分解装置ベースで行われることとなり、競争力は飛躍的に向上する」、「現状の国内価格体系は見直しが必要」などと説明しながら、石油事業の現状について「競争力の有無に関わらず、だれがやっても利益が出ない異常な状態」との認識を示し、適正利益の確保に対する強い意欲を見せた。
 また、新井社長も「2014年度までの中期経営ビジョンでは、石油事業の収益力強化と太陽電池事業の拡大が大きな柱。石油事業は、内需増加時には設備をフル稼働して1滴でも多く拡販していくことが収益モデルだったが、今後は最高効率の設備で付加価値の高いものをつくり、採算販売していくことがモデルとなる。これは、当社にとってもかなり大きなモデルチェンジだ」と環境変化への対応に挑戦する考えを強調。競合他社との差別化戦略として、消費者ニーズに沿った環境貢献商品となる燃料油やオイルの提供、系列約600特約店との緊密な連携に立脚したリテール活動の展開をあげつつ、市況改善に向けた需給適正化が最重要課題と訴えた。
 
記者会見する香藤会長(右)と新井社長  
 
 

◆ EMが法規制受けカード内容一新
(2月24日付)
 
 代理店筋の話によると、エクソンモービルは7月から個人向けクレジットカード・シナジーカードの内容を一新する。カードの合計利用金額に応じて、ガソリンなどの値引き額を拡大させる方式に変更。クレジットカード業界の法規制強化を受けて、ユーザー特典を高め、ユーザーのメインカード化を図っていくのが狙いだ。これによって、値引き額は現在の2円/リットルから最大で7円引きと大幅に引き上げられることに対して、EM系列内外の販売業者の間から、「どこまでユーザーに受け入れられるかは不透明」や、市場への悪影響を懸念する声など、様々な見方・不安が渦巻いている。
 現在、ガソリン・軽油に適用している燃料油値引き特典は給油所での利用金額が5,250円以上で2円引き(5,250円未満で1円引き)となっている。これを前月のカード合計利用金額応じて値引き額を変える方式に改める。給油所に加え、ショッピングの合計利用金額が1万円未満で1円、1万円以上2万円未満で2円と、1万円刻みで値引き額を増やし、7万円以上で7円引きが最大となる。
 一方で、オプション設定しているロードアシスタントサービスは顧客の有効期限で順次中止していくほか、年会費も現行の1,312円から2,100円に値上げする。
 こうした一連の見直しに系列販売業者からは、「カード会社が厳しいから改定したのでは。あまり気にするほどのものではない」(神奈川県)という反面、「顧客の囲い込みには有効手段だが、市況にとっては悪い影響を及ぼす可能性は高い」(栃木県)や、「JX統合にかなりあせっているのでは。他社より先に顧客を囲い込んでしまうという意図が感じられる」(群馬県)などと、今後の動向に不安をもらす。
 一方、他系列の販売業者からは「7円引きという値引き額が一人歩きし、市況混乱要因になる危険性がある」、「7円引き後の価格を掲示し、廉売を仕掛ける給油所が出てくる可能性も否定できない」(千葉県)と、市場混乱を懸念する声も出ている。 また、「他社も追随して、ガソリンをまた廉売商品にされては迷惑だ」(神奈川県)と、影響拡大を危険視する声も出ている。
 
 
 

 

◆ 硫酸ピッチついに根絶
(2月17日付)
 
 環境省は2月15日、硫酸ピッチの不適正処理状況を公表したが、2008年度は99年度の調査開始以来、初めて都道府県および政令市からの確認報告が一切なく、不正軽油の大規模な密造事案が終息したと推測しうる結果になった。
 硫酸ピッチは、軽油引取税の脱税を目的に、A重油や灯油に含まれる識別剤クマリンを除去するため濃硫酸で処理した際に発生する廃硫酸と廃炭化水素油の混合物で、著しい腐食性や有毒ガス発生など健康・生活環境に大きな被害が生じる恐れがある。10年間を累積した不適正処理件数(不適正保管・不法投棄)は全国トータルで276件、不適正処理本数(ドラム缶換算)は6万9,457本にのぼったが、その約9割はすでに処理が施されている。 特に03年度は1年間で81件・2万8,383本の不適正処理事案が確認されるなど不正軽油の横行が目立ったが、全石連および各石油組合、自治体などの不正軽油撲滅・硫酸ピッチ廃絶に向けた強力な運動展開により、04年の廃棄物処理法改正で硫酸ピッチを指定有害廃棄物に指定して保管上限を20キロリットルに制限したり、同年施行された改正地方税法で罰則を大幅強化したことなどが奏功。06年度は14件・1,445本、07年度は3件・127本と着実に不適正処理が減り、08年度はついにゼロとなり、脱税や環境破壊が与える社会的悪影響は大きく軽減された。
 
  
 
 

◆ 全石連・「新仕切方式改定」について議論
(2月15日付)
 
 全石連は2月10日開催した正副会長・支部長・部会長合同会議で、複数の元売が新仕切体系の改定に向けて検討を始めたとみられることを受け、その動向について議論。こうした改定は、特約店との十分な協議を踏まえず一方的な決定で実施されれば、公正取引委員会が昨年末に発表した「ガソリン不当廉売ガイドライン」で指摘している「元売の優越的地位の濫用」にあたるのではないか、などの認識を示す意見が出た。
 現在の新仕切価格は2008年秋以降、元売各社が市場価格に連動した週次の仕切決定方式として、逐次導入を開始したもので、系列特約店を中心に販売業界にも大きな影響を及ぼしている。そうした中、2月に入ってから従来までの方式を改定し、精製マージンの確保を前提にした下限価格の設定やブランド料の引き上げなどを骨子とした「新仕切方式改定案」を特約店に説明し始める系列も先行的に出てきており、その動向に注目が集まっている。系列特約店からは「説明は聞いたが、今後、互いが話し合う余地がなければ、納得できない」などとし、現時点では一方的な通知となっているとする声も聞かれる。 10日の合同会議でも、公取委ガイドラインで「元売は系列特約店に対する卸売価格などを決定する際には、系列特約店との間で十分に協議する必要がある」との指摘が明記されている事実の重要性を再確認した。
 
 
 

 

◆ 近畿・「だれでも会員価格」に批判続出
(2月10日付)
 
 給油所での会員価格に近畿石油販売業者から疑問の声が上がっている。最近、元売子会社給油所で散見される「会員カードを店頭に置いた状態で、給油客ならだれでもその場で、会員価格の給油ができる」ことに、「これではフリー価格と同じ。会員価格の意味がない」と、その販売姿勢に不信感を示す業者が多い。
 大量の会員カードを精算機の脇に置き、会員登録もしないで会員価格での給油ができる精算方式を、地場業者は「だれでも会員」と評し、業界としての商慣習を崩す行為と断じる。これまで元売子会社給油所で多く行われ、店頭表示では「会員価格」でありながら、実際の清算ではフリー価格となるものとして、激戦地などではその価格表示をめぐる激しい競争を引き起こす要因にもなっている。 「カードを無償でばら撒くような商売を許すことは一般の小売業、サービス業ではあり得ない。少なくとも顧客リストが作れるだけの販売姿勢でなければ、なんの意味もない」と周辺業者からは疑問の声が上がる。関係者は「あれで顧客の囲い込みができるほど給油所という商売は甘くない。無条件、無差別に会員カードを拡散することが給油所の価値を喪失させている」と、「だれでも会員」のあり方を批判している。
 
  
 
 

◆ 次世代SS研・新ビジネスモデルを提示
(2月8日付)
 
 全石連の次世代自動車対応SSの将来像を考える研究会の報告書が2月5日に公表された。SS業者は当面、燃料供給を経営の中心に据えながらも、新エネルギー時代に備え、石油販売業から“総合エネルギー産業”への転換を提言したもので、A(2010年~)、B(15年~)、C(20年~)のグループ分けを示し、石油販売とカーケアなどの既存事業に加え、家庭用太陽発電や関連機器の販売、急速充電器の併設、水素供給設備の設置へと、時間軸と地域性・立地条件に応じた事業展開を示した。
 研究会では、20年のガソリン・軽油需要は、08年度に対し約3割落ち込むと想定したうえで、①EVに対する急速充電サービス係るコスト試算③今後のSSのあり方―について議論。SS経営の方向性について、急速充電事業をビジネスとして成立するための国などによる政策誘導・行政支援の必要性をあげた。また、将来的な燃料電池自動車の普及を見据え、SSでの「水素」取り扱いを視野に入れることも指摘。一方で、SSの再投資に向け、経営体力の温存・強化を図り、“総合エネルギー産業”に向けた事業展開を模索していくことが必要とした。 “総合エネルギー産業”に向けた取り組みへは、Aグループでは10年代前半に向けて、石油製品販売・カーケアサービスなどの既存事業に加え、家庭用太陽電池、オール電化機器の販売など、総合エネルギー産業への進展を店頭に置いた事業展開を準備。Bグループでは15年を目途に、急速充電器の併設、EV・PHVの保守点検、情報発信という次世代自動車対応事業の展開を図る。Cグループでは20年ごろまでに、水素供給設備の設置・供給体制の整備といった次世代SSの将来像を示した。
 
 
 

 

◆ 09年・給油所のガソリン粗利最低に
(2月3日付)
 
石油情報センターの石油製品週動向調査と卸価格月次調査(2010年1月卸価格は「ぜんせき」推定値)との差で粗利を集計した場合、09年のガソリン粗利は、年間の全国平均が過去5年間で最低であることがわかった。燃料油価格の暴騰、暴落や新仕切価格の導入など、市場に与える不安定要素の多かった08年と比較して2円、過去5年平均と比較しても1.2円のマイナスとなった。こうした実態は最近の不当廉売申告の増加にも現れており、過当競争の激化による経営環境の悪化が浮き彫りになった。
 09年1~12月の月間平均小売価格と卸価格から推計される全国平均のガソリン粗利は11.1円となり、07年の平均11.4円を下回り、直近の5年間で過去最低となった。特に需要期にあたる5月、8月には、仕切価格はそれぞれ3.5円、1.5円上昇しているが、小売価格は3円、1円の上昇にとどまり、転嫁不足が生じた。
 県別に見ると、20道府県で粗利が10円を下回った。秋田、群馬、栃木、茨城、千葉、埼玉、香川では年間平均粗利が9円を下回り、北関東での収益悪化が目立つ。秋田、群馬、栃木、茨城では8円以下となり、各地の激戦区ではさらに厳しい状況にあることが推測できる。 10年も大幅な仕切り値上げで幕を開けた。09年12月下旬から1月中旬にかけての市場軟化の影響もあり、1月の推計粗利全国平均は9.4円で、09年の8.65円と同様に低水準でのスタートとなり、小売市場は早くも正念場を迎えている。
 
  
 
 

◆ 近畿・不当廉売で59件申告
(2月1日付)
 
 近畿地方の石油販売業者がこの1ヵ月間に公正取引委員会に申告した不当廉売給油所数が59ヵ所に達することが本紙調べでわかった。仕切価格に近い販売価格を設定する給油所の申告事案が急増したためとみられ、改正独占禁止法の意義が浸透し市場正常化への期待感が申告件数に表れる結果となった。
 1月当初、申告事案はガソリン価格で117円/リットル以下であったが、その後の仕切値上げを受け、今月中旬以降120円前後の価格についても申告する給油所が増え、結果的に50ヵ所を超えた。その多くは改正前にはいわゆる“仕切りスレスレ”とされた案件で、法改正の内容を熟知したことが申告を増やした。
 府県別の申告数は大阪が30ヵ所、奈良が16ヵ所、兵庫が5ヵ所、京都と和歌山が各4ヵ所で、滋賀の申告事案は確認されていない。
 対象となった給油所は系列、非系列さまざまだが、フリー価格では123円を掲示しながらも実売価格として120円を掲示したり、各種値引き価格、灯油と軽油も含んで廉売行為を続けていることを申告したケースもある。 申告した業者からは「申告件数がこれだけ増えたことが業界の深刻な実態を表している。仕切スレスレでは商売でないという判断を公取委に示してもらいたい」との声も聞かれる。