2009年11月



◆ 事業仕分けで「土壌汚染環境保全対策事業」に廃止
(11月30日付)
 
 政府の行政刷新会議は11月26日、2010年度予算要求の見直しを図る「事業仕分け」を行い、このうち石油業界関係予算で候補にあがった、地下タンク・配管からの油漏えいを未然に防ぐ「土壌汚染環境保全対策事業」については、22人の第2ワーキンググループ(第2WG)のうち8人中4人が下した“廃止”で結論付けた。「税金を投入する公共性に妥当性が感じられない」、「特定の業界だけになぜ国費が投じられるのか」などの意見から廃止を求めたもので、第2WGの議論として「泥棒に追い銭を与えるようなもの」などと、石油販売業者を犯罪者呼ばわりする認識も示された。また、石油協会の基金については議論すら行われず、「見直し」、「基金を国費相当額、国庫返納していただく」と結論付けた。

地下タンク補助事業について仕分けを行った第2ワーキンググループ
 

  

 

◆ 大阪・民主党府支部連と政策・制度意見交換会
(11月25日付)
 
 大阪府石油組合と府油政連の代表は11月22日、大阪市内の民主党大阪府総支部連合会を訪れ、府選出の国会議員、府会議員など約30人と政策・制度意見交換会を開いた。同会では石油販売業界として「地下タンク撤去等補助金」の継続、「セーフティネット保証制度」の延長・拡充、「ガソリン手持品在庫に係る減税相当額の還付措置」の実施を要望、民主党からは「E3拡充の方策」などについて質問が相次いだ。
 意見交換会で西尾恒太理事長は給油所が多大な徴税義務を担っていることを強調し、「地下タンク撤去補助が事業仕分けの対象となっていると聞いている。我々中小企業にとってタンク撤去を自ら行えるだけの利益が回らないのが実情。後進対策を支援する制度として継続をお願いしたい」と訴えた。
 「セーフティネット保証制度」についても「暫定税率が廃止されれば在庫損だけで1給油所あたり80万円となることが見込まれる。金融情勢からも資金繰りも一気に厳しくなる」と実情を明かし、制度の延長・拡充がなくなれば地場産業の崩壊、安定供給の危機につながることを示唆した。
 暫定税率問題には「税制を変えるなら減税相当額の還付をぜひともお願いしたい。混乱のしわ寄せが常に中小業者、現場にくることを理解していただきたい」と強調した。
 民主党大阪府連の樽床伸二代表は「60年ぶりの本格政権交代でかつてのやり方をできる限り速く変え新しい仕組みをつくりたい。10年政権を担当する決意で皆さんのご意見をうかがいたい」と述べた。
 このほか、西尾理事長は石油業界の実態として元売子会社による給油所進出で地場業者の経営が厳しくなっていることを訴え、「元売が30%もの販売量を持つ市場で我々が戦っている。安全走行の使命を守るためにも中小企業のための、なんらかの措置をお願いしたい」と述べた。
 
民主党大阪府連(右)に地下タンクの老朽化の状態をペットボトルを用いて解説する西尾理事長(左中央)と大阪府石油組合・府油政連代表
 

  

 

◆ 全国一斉軽油抜取調査・過去最低の混和嫌疑率
(11月18日付)
 

 軽油引取税全国協議会は11月13日、10月の不正軽油撲滅強化月間において47都道府県が7~9日にかけて実施した2009年度「全国一斉路上抜取調査」の実施結果を公表した。2009年度は台風の影響などにより順延して実施、あるいは中止となった箇所もあるなど、大きな影響を受け、全国の採油本数は昨年より1,715本少ない3,632本にとどまったが、混和疑惑検出率は1.2%、45本で、この5年間で最低の検出率となった。
 協議会が一斉調査を始めて以降、調査による混和嫌疑検出率は05年度が3.8%、06年度が3.0%、07年度が2.5%、08年度が1.9%と、改善傾向にあり、不正軽油の流通が減少している様子がうかがえる結果となった。
 調査で混和の嫌疑が検出されたサンプルについては、当該自治体が車両の所有者に対する聞き取り調査などから流通ルートを追う。また、他府県ナンバーの車両に関しては、当該自治体に通報し、その地で調査または課税処分を行うなど、自治体間の連携による調査を実施することにしている。

 

  

 

◆ 近藤政務次官に業界の実情訴え
(11月13日付)
 

 全石連の関正夫会長ら正副会長は11月11日、経済産業省の近藤洋介大臣政務官を訪問し、中小石油販売業者の厳しい経営実情を訴えるとともに、地下タンク撤去補助事業やセーフティネット保証制度の延長措置の必要性などを詳しく説明した。近藤政務官は「地元(山形)でも給油所が店仕舞いしており、苦しい実情は理解している。CO2の25%削減の方針などもあり、一般の中小対策では済まない問題が給油所業界にはある」と答えた。
 現在、政府部内で来年度予算の大幅な見直しが取りざたされていることから、中小の石油販売業者にとって不可欠な支援制度を中心に実情やその必要性を説明した。
 関会長は「給油所事業者は税の実質的徴収を行っているが、厳しい経営環境にさらされ、さらに貸倒れ分の税負担なども負わされている」と発言。河本博隆副会長・専務は「タンク撤去等補助事業は環境対策としても重要な制度」として継続実施の必要性を説明した。
 さらに業界側は、「年間5兆円もの税を徴収してきた給油所がどんどん潰れていく。中小を潰さないでいただきたい」(根本一彌副会長)、「元売が小売に進出し販売シェアは3割を超えている。1給油所企業は対抗できず撤退せざるを得ない状態だ」(西尾恒太副会長)などと発言。このほか早
山、土川、日和﨑副会長が訪問した。
 

近藤政務官(中央正面)に厳しい経営実情への理解を求めた

 

  

◆ 次世代SS研・法整備と人材育成指摘
(11月6日付)
 
全石連は11月4日、第2回目の「次世代自動車対応SSの将来像を考える研究会」を開催した。研究会では、新日本石油と昭和シェル石油の元売2社およびゲストスピーカーの柏崎商工会議所の西川正男副会頭、インターネット総合研究所の藤原洋社長から、次世代車の普及に向けた取り組みや、今後の給油所のあり方についてプレゼンテーションが行われた。
 西川氏は経産省の補助事業「EV・pHVタウン」モデル事業を活用したEV普及事業の取り組みを説明。充電切れになったEVに対し、急速充電機能を搭載したEVから電気を供給するシステムのほか、EV関連企業の誘致、EVの普及推進に取り組んでいることなどについて紹介した。また、藤原氏はEV普及に向け、今後は高効率の電力輸送が可能なインフラ整備が求められていると強調、「直流高温超伝導送電が可能なスマートグリッド普及が解決の糸口になる」と述べた。
 一方、新日石はEVや燃料電池車普及に向けた取り組みを解説、昭和シェルは給油所が次世代燃料供給インフラとして機能するために、消防法などの法改正を含めた国の支援策が必要と指摘したうえで、給油所業界も「危険物乙4類だけでなく、高圧ガス保安法や電気事業法に基づく国家資格取得者が必要になってくる」と、新たな人材育成の重要性を強調した。
 意見交換では「北海道では、豪雪で停車する事態が起きる危険性があり、その間、自動車のエンジンをかけて暖房をとる。仮にEVなら短時間しか暖房が持たず、凍死してしまうのでは」と非常時の問題点が提起されたほか、「セルフだと5分で給油は終わるが、EVだと急速充電器でも20分はかかる。充電の待ち時間を活用したビジネスモデル構築を検討する必要がある」との声が上がった。 関全石連会長は「給油所がインフラとして価値のあることが理解できたが、地方の給油所が生きていけるための環境づくりを基本発想に議論していくことが重要」と要望した。
 
「給油所生き残り策の視点が重要」と提起された研究会
 
  

◆ 2010年4月「JXグループ」発足
(11月2日付)
 
 新日本石油と新日鉱ホールディングスが経営統合して「JX(ジェイエックス)グループ」、持株会社「JXホールディングス」が2010年4月に発足する。会長に西尾進路新日石社長、社長に高萩光紀新日鉱H社長が就任、10年7月に、その傘下に各「JX日鉱日石」を冠した石油精製販売事業を担う「エネルギー」(木村康社長=新日石取締役常務執行役員)、石油開発事業を担う「開発」(古関信社長=新日石開発社長)、金属事業を担う「金属」(岡田昌徳社長=日鉱金属社長)を発足させる。本社は東京都大手町2-6-3(旧・新日鉄本社)に構える。エネルギー、資源、素材の上流から下流までの一貫体制を備える世界有数の「総合エネルギー・資源・素材企業グループ」へと発展することを目指す。
 10月30日に行われた新日石・西尾、新日鉱H・高萩の両社社長の会見では、4月1日に統合、7月1日に各中核事業会社を設立する計画などを明らかにした。また、ブランドの方向性については「一本化の方針は変わっていない」(西尾社長)と明言。JXグループの長期ビジョンと2010年度から3年間の中期経営計画を策定し、4月を目途に公表する予定だ。 石油精製販売事業では11年3月末までに「08年12月4日基準で日量40万バレルの石油精製能力を削減する」とともに、「15年3月末までには20万バレルを追加削減する予定」とした。統合シナジー効果は13年3月末までに年額で精製部門140億円など合計600億円以上を実現、15年3月末までに年額400億円を積み増して合計1,000億円以上を追求する。
 
JXグループ誕生でがっちりと握手する新日石・西尾社長(左)と
新日鉱H・高萩社長