2006年01月


◆ 依然続く原油「高値安定」
    
(1月17日更新)


   国内石油業における規制緩和の号砲となった特定石油製品輸入暫定措置法の廃止から10年目。2005年の給油所数はついに5万ヵ所を割り込んだ。
 高騰に次ぐ高騰をたどった原油価格は国際的に新時代を迎える一方で、産油国や最上流部を有する本邦石油開発企業と国内元売のアライアンス、元売グループ内の集約による中震規模の再編が起こった。国内石油販売業界では月次で8回に及んだ仕切り値上げの背中を追い続けたが、ついに年末までその背中に触れることはできず、残債を抱えた越年となった。価格の高騰によってエネルギー転換の影響が出始め、地球環境の重みが増す中で、地域社会との密着度を高める給油所インフラの画像は、より鮮明となった。
 05年1月の原油価格は42ドル/バレル、円換算で27.5円/リットル。8月末ピークは70ドルで49円。近況は58ドルで44円。これが世界指標の米国WTI原油の1年間の相場推移である。国内指標の一つドバイ原油は34ドル22.4円でスタートを切り、10月初旬の41.8円、近況は39円という推移をたどった。
 米国発の世界石油危機を防ぐために、史上初めてガソリンの対米輸出も国際連携の中で実行された。国内要因ではないが、製品輸出に見合う民間備蓄の放出も実行された。初めて伝家の宝刀が抜かれたのである。
 年末に向かって、元売の月決め仕切りが小幅な値下げとなったこともあり、原油の超高値は過ぎ去ったように判断するむきもあるが早計である。
 原油高を演出した米のハリケーン渦は改善方向にあるが、米中印などの消費拡大、OPEC生産余力の乏しさ、産油国の地政学的な高リスク、米の脆弱な精製設備能力という主要因は、ほとんど改善されていない。欧米の大寒波―暖房油急騰―原油急騰というシナリオが現存している。したがって、原油の高値安定は依然として続いている、と判断したい。
 特に円建てでは最近の円安が影響して、原油は高値を年末まで引きずっている状況となった。「1年前の原油相場観は払拭すべきであり、現状の高い水準を平時と見るべき」という時代に入った。「経済性に優れた大切なエネルギー」から、「より効率的な有効利用をすべき大切なエネルギー」に転換したのである。
 中国勢に象徴される石油資源の国際的な争奪戦も始まっている。国内元売と開発専業や国策会社との提携や資本関係強化も、権益拡大と安定的な販路確保という国際石油市場での現実問題が、その背景となっている。
 燃料の超低硫黄化は超低燃費エンジンの普及を促し、06年3月には灯油改質の家庭用燃料電池が市場投入される。石油の効率利用は格段に進む方向性が見える。
 特石法の廃止から10年で、国内石油業は当時と比較して24.7円/リットルも高い原油を購入して、4.4円高いガソリンを販売している姿となった。6,200万キロリットル/年に膨らんだガソリン販売量換算では、20.3円/リットル、年計1兆2,600億円を顧客に還元している。この1年を見ても、原油は16円高くなって、ガソリンは11.9円しか上がっていない。4.1円/リットルの取り残しは、年計で2,540億円に相当する。資本が流出し続ける国内販売を立て直す最大の課題が残ったままの年になった。





◆ 全石連がリスク教材ビデオ販売
  (1月17日更新)

   全石連は11月の札幌からスタートした「リスクマネジメント研修会」で上映するなどし、「具体的な対応として非常に役立つ」と好評な教材ビデオ(写真)の組合員向け販売を開始した。
 ビデオは給油所でのさまざまなトラブル事例を紹介し、被害を最小限に抑えるための対応策を解説した「転ばぬ先の…」(約30分)と、給油所が保有する個人情報の定義や管理方法などを紹介する「見えない『財産』を守るために」(約20分)の2本。いずれも給油所を舞台にしたドラマ仕立てで、注意点などが理解しやすくなっている。
 購入希望者は所属組合か全石連共同事業部(電話=03-3593-5844)まで。また、今回から2本のビデオをまとめたDVDも用意している。





◆ 石油特会見直しへ
  (1月17日更新)

   政府・与党は現在ある31の特別会計の見直しに着手しており、石油業界に直接影響を及ぼす石油特会(石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計)の見直し方針が12月第2週の末までに固まった。石油特会を電源特会(電源開発促進対策特別会計)と統合した上で、政策上必要な額を一般会計からそれぞれの勘定に繰り入れる方針。石油特会自体はこれまでの流れと実質的に変わらないものの、電源特会との関係から予算の必要額に関する査定が従来以上に厳しくなると見られ、石油販売業界の構造改善や土壌汚染防止関係などの補助額に影響が及び、石油流通支援予算に関しては内示で前年度予算と比較し27%減となった。
 政府はわが国の財政構造改革を進めるためには一般会計とともに「その内容が分かりにくい」とされる特別会計についても抜本的な見直しが必要と判断。小泉首相の指示を受けて財務省や自民党内で激しい議論が行われてきた。特別会計見直しの柱として注目された道路特会については、税率維持、一般財源化を前提に、納税者の理解を得ながら今後、具体案を議論していく方針が示された。一方で石油業界に関係が深い石油特会についても電源特会との統合という基本的な方針も固まった。
 石油石炭税の税収はこれまで受益者負担の考え方から石油備蓄や探鉱開発、石油精製や石油流通業の合理化対策などに利用されてきた。全国石油協会を通して石油販売業者の経営合理化や土壌環境汚染対策などに投入されてきた予算はこの石油特会から支出されてきたものだ。ただ税収の流れとして、これまでは石油石炭税の税収は一旦、財務省が管理する一般会計に回され、税収見合い額を石油及びエネルギー需給構造高度化勘定に繰り入れる流れだったが、最近は、当初予算の使い残し分、いわゆる「不用」が多く出ていることから、同勘定への繰り入れ額が一定程度減額されていた。
 一方の電源特会は、電気料金に課せられている電源開発促進税の税収をそのまま電源立地勘定、電源利用勘定に直入する流れだったが、今回の見直しで、石油特会と同じように一旦、一般会計に回し、必要額を電源対策に繰り入れることになった。原子力発電所などの増設が進まないことから不用額が大幅に増えていたことなどがその背景だ。
 石油特会と電源特会の統合で名称も「エネルギー特会」などに変わる見通し。また、一般会計から石油勘定、電源勘定に繰り入れることになるものの、今回の見直しの経緯などからみて、予算査定時に関連予算の前年度実績などをもとに絞り込んで判断される見通しだ。
 石油販売業界が利用してきた土壌汚染防止対策や経営高度化・実験化事業などの補助金も、予算額に対して実績額が少ない場合は減額される可能性が高くなる模様。石油販売業界が政府の支援措置の継続を求めていくためには、今後、現行予算の積極的かつ有効な活用を求められることになりそうだ。





◆ モダが札幌に北海道初のエッソマーク
  (1月17日更新)

   北海道初のエッソマークが札幌東区に上陸した。道民になじみのないブランドマークを掲げたのは、モダ石油グループ(本部・旭川市)の札幌新道給油所。
 11月に昭和シェルと特約店契約を結び、無印の10給油所を昭和シェルマークに変更したばかりのモダ石油グループが、そのわずか1ヵ月後にエッソマークを掲出したことで、道内業者にさまざまな憶測を呼んでいる。
 その一つとして、昭和シェル側は東燃ゼネ石マークを掲げている残りの22給油所も昭和シェルマークにして系列化したい意向だが、昭和シェルのコントロールを嫌ったモダ側が牽制の意味でエッソマークを掲げたというもの。また、北海道以外では強いブランド力を確立しているエッソマークでモダがいよいよ本州への進出を開始するのでは、という見方もある。
 エッソの道内1号店となった札幌新道給油所のサインポールに掲げられたマークは小さく、その位置も給油所隣に建てられている車検工場のはずれという目立たない場所でドライバーには視認しづらい。「せっかくの新しいマークをなぜわざわざ目立たない場所に」という疑問がエッソマークを掲げた同グループとエクソンモービルの意図について、さらに多くの憶測を呼びそうだ。

エッソマークはなぜか車検工場の奥に(給油所の手前からはほとんど見えない)




◆ 日かつ連が破綻
  (1月17日更新)

   日本鰹鮪漁業協同組合連合会(=日かつ連、石川賢廣会長)は理事会で、会員組合と子会社を含む日かつ連グループを解散し、新たに立ち上げる組織で事業の継続、再生を図ることを決めた。多額の不良債権と2005年に入ってからの燃料費のアップが足かせとなった。遠洋漁業用燃料の安定供給に重要な役割を担ってきた日かつ連の解散は、今後、漁業用燃料の安定供給に支障をきたす恐れもあり、同じ農林漁業用燃料の安定供給に務めてきた石油販売業界にも大きな影響を与えそうだ。
 日かつ連ではこれまで、多額の不良債権を処理しながら再建を図る方針を打ち出していた。しかし、05年に入ってからの原油価格の高騰による燃料費のアップが組織の財務体質の悪化に追い討ちをかけ、既存の組織体制のままでの再生は困難と判断。2006年3月までに日かつ連組織を解散し、4月以降は、債権債務を引き継ぐ清算団体と、指導事業・国際事業のみを行う組織、販売事業を行う株式会社の3つに分離・独立させ、遠洋カツオマグロ漁を支えていく。
 全石連の巻田廣吉農林漁業部会長は今回の日かつ連の解散について、「約400ある船が今後3分の1まで減るのではないかという厳しい見方もある。企業体として遠洋漁業を営んでいる会社の経営は年々厳しくなってきており、最近の原油価格の高騰による燃料費の値上がりでさらに状況は厳しくなっていると聞く。遠洋漁業船への燃料供給に支障をきたす恐れもある」と述べ、石油販売業界への影響を危惧する。




◆ 三菱商事石油西田重信代表取締役社長
  「『油は投機商品』の認識必要」

  (12月14日更新)

   石油販売業界に新たな変化の波が起きつつあると感じる。自由化の浸透と予期せぬ原油高騰により、石油販売業界内の構造変化が加速されたことがその要因と考えられる。その流れの中、カギを握る存在となりそうなのが大手商社グループだ。その一翼を担うとみられるのが三菱商事石油グループ。同社の西田重信代表取締役社長に現状の石油業界に対する認識と今後の方向性について聞いた。

 ―原油情勢と国内市場への影響について。
 原油価格は、原油の需給バランスといった石油関連だけの情報ではもはやだれも予測できないだろう。ます、価格形成構造を説明すると、1990年以降、原油取引はコモディティー化というか先物商品化が急速に進んだ。WTIにしろ、ドバイにしろ現物の実取引数量は非常に少ないが、世界の1日の実生産量をはるかに上回る“ペーパー上の取引”がなされており、この価格が現物の取引価格にも適用されるシステムに変化した。
 したがって、いまの原油高は中国、インドなどの需要増だけでは説明がつかない。投機商品の一つとして価格決定がされていると認識すべきだろう。さらに、2004年から国際政治的な背景も加わったと思う。すなわち、03年来の投機資金の流入によって高水準となった原油価格を、04年に、米国や中東産油国なども原油探鉱・開発推進のため容認・支持することに方針転換したとみると、50ドルを目安に大きく値下がりすることはないだろう。
 国内市場は一喜一憂しても仕方ない。原油価格は消費国としての日本に左右する力がないのだから、残念だが、あるがままに受け入れるしかない。また、国内的には今が最高値ではない。為替水準の違いから20年前には160円/リットルのガソリン価格があったのだから、『油』は大事な商品というプライドを持って臨むことが重要だ。一方で、在庫調整や需給に見合った生産をすることはメーカーの基本的な責任であり、きちんとした解決を求める必要がある。

 ―給油所業の構造変化をどうみているか。
 わたくしどもの全取引の70%が、グループ特約店との取引だ。このウエイトは高いし、地域に密着した特約店は強い。こうしたグループ特約店への経営サポート・リテールサポートを積極化しており、首都圏や関西地区などで成功事例となる給油所も数多く出てきている。セルフ化は立地・周辺環境を見てケースバイケースと考えている。現時点での確固たる成功事例を見ると、セルフ解禁当初に先駆けた「先行型」と「ショッピングセンター併設型」の2つに限られるのではないか。「流行」と言うだけでセルフ化するのはお勧めしない。

 ―給油所集約化については。
 元売の直営販売網拡大はさらに強化されることが予想され、異業種参入やM&Aの活発化などもあり、給油所の集約化は加速されるだろう。わたくしどもとしても、マーケット分析をして有効な給油所物件が出てくれば、「借りる」、「買う」などの経営判断をするし、逆に自給油所を「閉める」ケースもあるだろう。また、土壌汚染については直営給油所すべてを検査し、すでに対応済だ。

 ―系列特約店へのメッセージを。
 激動の時代である。かつてのような仲良しパートナーというだけでは生き残れない。わたくしどもも特約店も「プロの商人」であるべきで、仕入れたものにさまざまな知恵を絞り、付加価値をつけて売るのが原点だ。互いに付加価値を生み出す有効で強靭なアライアンス関係でありたい。

インタビューに応じる西田社長




◆ 近畿支部 人材募集・育成を支援
  (1月17日更新)

   全石連近畿支部は、奈良県橿原市内で労働環境改善に向けた会合を開いた。組合員企業の人材募集・育成を組織的に支援する方策を探り、より具体的な新規事業を展開することを目的にした会合では、高度化・実現化事業を視野に入れた取り組みなどが検討された。
 現在、近畿圏石油販売業界を取り巻く雇用環境は極めて深刻な状況。業種間の優秀な人材獲得競争が続き、大阪市内の広域業者は「年間1,000万円のコストを使っても人が来ない」と嘆く。
 こうした事情を考慮し、組織の新規事業として人材確保・育成まで展開することを目的に、奈良県石油組合は、「無料職業紹介制度」実現を研究しているが、同制度を近畿2府4県各県石油組合が共同歩調で進める可能性を探るため、会合は開かれた。
 会合には2府4県の事務局責任者が集まったほか、近畿経産局石油課の花内秀友課長、全国石油協会の木村正史次長が出席。さまざまな角度から近畿圏石油販売業界として“雇用問題”を組織的に進める方策が検討された。
 花内課長は近畿経産局として、新たに石油販売業界の人材問題に関する総合的な調査を行うことを報告。その結果を今後の事業展開に活用するよう提案。また、木村次長は高度化・実現化事業として取り組む際の留意点や可能性を示唆した。
 すでに事業化に向けて研究を進めている奈良県石油組合からは飯田昇専務理事が現状並びに今後の課題などについて報告し、同県石油組合とともに事業化を進める方針を明らかにしている京都府石油組合からは、鳥山正未専務理事が組織的に無料職業斡旋を行うまでの資格制度などについて説明した。
 制度の趣旨については各県石油組合の賛同が得られ、今後は2府4県が協調して人材確保を組織的に行うための方策づくりを進めることになった。これにより同事業が2府4県で普及すれば、組合員企業にとって人材確保にかかるコストを削減できる支援事業を、近畿圏石油販売業界全体として得ることになる。

人材問題を近畿圏石油販売業界として研究するために行われた会合




◆ 不正軽油「供給者罰則」導入へ
  (1月17日更新)

   全石連と油政連が求め、「ガソリンスタンドを考える議員の会」(GS議連)がプロジェクトチームを組んで検討してきた軽油引取税脱税防止の一層の強化が実現する。総務省は2006年の臨時国会に、不正軽油の製造者に混和用の灯油や重油を供給した者のほか、密造工場などの施設を提供した者に対しても罰則を適用する、いわゆる供給者罰則を地方税法改正案として提出する。今回の改正により不正軽油の原材料提供から密造・販売に至るまでの一連の不正行為に網がかけられることになった。03年の運動の結果、「不正軽油等譲受罪」の創設や罰則強化が行われ、04年以降、不正軽油摘発が増加しているが、さらに広く網がかけられることで一層の軽油引取税収の増加につながりそうだ。
 これまでは、不正軽油の製造者に原材料を供給してもなんら規制されず、密造工場の提供者についても共犯と認められない限り処罰はされなかった。今回の改正案では不正軽油の原材料として用いられることを知りながら灯油やA重油を供給したり、不正軽油の製造に利用されることを知りながら施設などを提供した者に罰則を適用できるようにする。また、元売業者や特約業者などがこの「供給者罰則」を適用された場合、軽油元売などの指定を取り消すことができるようにする。
 全石連と油政連は05年夏、法の網をかいくぐるかのような脱税行為が依然、横行していることから、06年度の税制改正要望に脱税防止対策の一層の強化を掲げた。これを受けて「GS議連」は吉田六左エ門議員を担当副会長、森元恒雄議員を座長にプロジェクトチームを設置。総務省都道府県税課、資源エネルギー庁石油流通課の担当官をオブザーバーにして法的規制の可能性について検討を重ねてきた。12月15日に決まった与党税制改正大綱に同改正案が盛り込まれたもの。